桐造短冊箱「桐華瑞雲」

楓鋲装長方箱 - 木工藝 須田賢司 Japanese Fine Woodwork SUDA Kenji

 工藝の素材としての桐材はまずは柾目が貴ばれます。茶道具の外箱や箪笥がその代表です。しかし桐材のもう一つの顔として「杢」の世界があります。あまり見かけないのですが桐材を板目に製材した時稀に表れる美しい木目のことです。今回の作品はその桐の杢板を短冊箱に仕立てました。会津産の良い桐です。ただ桐は柔らかいので角を保護するためにも黒柿を縁に回して形を引き締めています。さらに中央に金具を付けて蓋を綴じています。金具は銀で作り金鍍金を施し、その上からさらに銀箔を重ね表情を付けています。

昔、父に「桑のような硬木ばかりではなく柔らかい桐材も扱えて一人前」と言われました。確かに桑指物だけに思える祖父桑月には桐の優品が何点か伝わっています。そこで今回私も桐に挑戦しました。金具を付けたり、短冊を上段下段に各々一枚だけ入れる構造など私らしい作品を心掛けました。 

 

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