木工藝学林 清雅舎展 ―須田賢司と5人の木工家―
ごあいさつ
日本ははっきりした四季と湿潤な気候が相まって、世界的にも稀な豊かな植生を誇る。その良質な樹木を材料とした木工の歴史は長い。そもそも人間が生活用具を獲得した最初は木の枝の加工=木工だっただろう。それから現代まで人々は技術の錬磨、道具の進歩に努め、洗練された「木工藝」の世界を生み出してきた。その長きにわたる木工の歴史の末端に座す私にとって、あとに続く木工家を育てることは重要な課題だ。7年前に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されてからは一層その思いを強くした。
現在木工に関する高等教育機関は少なく、また内弟子を育てる時代でもない。そこで自宅工房を拡張整備し、近県より日本工芸会の中堅作家5人に呼び掛け2018年正月に研究会を始めた。回を重ね、日本伝統工芸展での受賞や作家としての自覚の深化など成果も徐々に表れている。
研究会は技術の錬磨・研究のみにとどまらず、工芸家としての素養の陶冶を目指す場として「木工藝学林 清雅舎」と名づけた。もとより学林は共に学ぶことが基本だが、清雅は私の制作上のモットーであり、私自身が長年にわたって築き上げてきた世界を次世代に伝承する場でもある。
このたび清雅舎展を開催するにあたり、ご高覧いただきご支援をお願いするとともにご講評を仰ぎたい。
重要無形文化財「木工芸」保持者 須田賢司
---
木工藝学林 清雅舎 展 ―須田賢司と5人の木工家―
会 期:2022年6月15日(水) ~ 2022年6月20日(月) 最終日午後5時終了
会 場:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
リンク:木工藝学林 清雅舎 展 ―須田賢司と5人の木工家― | アートギャラリー | 日本橋三越本店 | 三越伊勢丹店舗情報 (mistore.jp)
このたび北海道立旭川美術館の「旭川美術館だより『氷華』No.64」に私のインタビュー記事が掲載されました。
学芸課長の佐藤由美加氏が私の工房に来てくださり、長時間のインタビューを通して、作品のこと、仕事のこと、諸々まとめていただきました。
記事はこちらのリンクからご覧頂けます▶hyoka_64.pdf (hokkaido.lg.jp)
イタリアはヴェネツィアにてミケランジェロ財団主催のHOMO FABER展が開催中です
「創作をする人間」に着目した展覧会を続けてきたHOMO FABER展が、今回は日本古来の伝統工芸にフォーカスし12人
展覧会のキュレーション
本展覧会に関連してはアメックス会員誌「DEPARTURE
例年桜の咲くころ恒例の「工芸Kōgeiの創造ー人間国宝展ー」が、今年も銀座和光で始まりました。4月13日まで無休です。
普段出品することの多い公募展は、その長い歴史の中で自然と出来上がった「制約」があるのですが、その点この会は自由に取り組めることが魅力です。人間国宝展と銘打っていますからその格調を保たねばならず緊張はしますが、他ではできない作品の製作・出品を心掛けています。
今日から第62回東日本伝統工芸展が始まりました。この展覧会は公益社団法人日本工芸会の東日本支部在住作家による展覧会です。支部と言っても関東甲信越から北海道までを含む大きな組織です。この展覧会の立ち上げには亡父も深くかかわっていたので思い出深い展覧会で、また私自身、若いときに何度か受賞をしたことでずいぶん励まされました。
今年は欅の小さな箱を出品しています。欅を多用しない私ではありますが、今回使った欅は特別杢目が美しく、玉杢でもなくモクモクと湧き上がる雲のような木目が特徴で、この良質の欅と黒柿材を合わせて小箱としました。中には用途に応じて懸け籠が入れられるようになっています。ご高覧頂けますと幸いです。
第62回東日本伝統工芸展
会期:2022年4月6日㈬~11日㈪
会場:日本橋三越本店7階
リンク:https://www.mistore.jp/shopping/event/nihombashi_e/higashinihon_50
明けましておめでとうございます。コロナ禍で迎える2回目のお正月ですが、皆様お元気に良き新年をお迎えのことと思います。
振り返ると、もともと仕事場に籠って制作をしていたものの、ここ2年ほどはめっきり外出が少なくなり、それもあってか、昨年はそれなりに充実した作品制作の期間となりました。一方で、やらなければならない仕事を多くやり残していることに気づかされ、あと何年元気で仕事ができるかはわかりませんが、今年は一つの区切りとすべく、そのやるべき仕事に取り掛かりたいと思います。
しばらく中断していた若手木工家との研究会も昨年暮れに再開し、今年も精力的に取り組みます。集う作家の一層の精進を期待しています。3月と秋には文化庁補助事業として「重要無形文化財『木工芸』伝承者養成研修会」が工房で1週間ずつ開催され、全国から6名の研修生が集います。講師である私も重文保持者の責任として準備を整え取り組みたいと思います。
また、コロナ禍を受けて長らく休廊していた木工藝ギャラリー-清雅-も2月より再開する予定です。
最後に、本年も多くの展覧会などの発表の機会をいただいていますので、以下の通り当面の予定をお知らせします。コロナの状況次第で変更が予想されますので、折々にお知らせしたいと思います。
2022年の展覧会予定
①「深める・拡げる―拡張する伝統工芸展」
会期 2022年1月19日(水)~1月31日(月)
会場 日本橋三越本店 本館7階催物会場
入場料 無料
主催 文化庁
②第65回東日本伝統工芸展
会期 2022年4月6日(水)~2022年4月11日(月)
会場 日本橋三越本店 本館7階催物会場
入場料 無料
主催 (公社)日本工芸会東日本支部
③「日本の工芸」
会期 2022年4月10日~5月1日
会場 イタリア・ベネチア
主催 ミケランジェロ財団
④「工芸・Kôgeiの創造 ―人間国宝展―」
会期 2022年4月
会場 銀座和光 6階ホール
入場料 無料
主催 和光
11月24日まで東京・上野の国立科学博物館にて、国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展 「木組 分解してみました」が開催中です。
モノとしての道具は、事としての建築、工芸品の制作に使われ人々の生活を豊かにしてきました。その時道具は木を切り、削り、彫って、組み合わせ、物を作ります。木を組むことこそが木工道具の目的と言っていいほど大切な役目です。
今回、木工関係の手道具の世界的コレクションを有している神戸の竹中大工道具館が、道具というモノの博物館がそのモノによって成り立つコト=木組に注目した展覧会を企画しました。木工道具にまつわる「物事」の世界です。日本が世界に誇る木工技術を駆使した木組、木工の粋をご覧ください。この展覧会は一昨年竹中大工道具館で開催されてから各地を巡回し今回の上野の国立科学博物館が最終回です。規模も一番大きいようです。
皆さま是非足をお運びください。
木工藝学林 清雅舎展 ―須田賢司と5人の木工家―
ごあいさつ
日本ははっきりした四季と湿潤な気候が相まって、世界的にも稀な豊かな植生を誇る。その良質な樹木を材料とした木工の歴史は長い。そもそも人間が生活用具を獲得した最初は木の枝の加工=木工だっただろう。それから現代まで人々は技術の錬磨、道具の進歩に努め、洗練された「木工藝」の世界を生み出してきた。その長きにわたる木工の歴史の末端に座す私にとって、あとに続く木工家を育てることは重要な課題だ。7年前に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されてからは一層その思いを強くした。
現在木工に関する高等教育機関は少なく、また内弟子を育てる時代でもない。そこで自宅工房を拡張整備し、近県より日本工芸会の中堅作家5人に呼び掛け2018年正月に研究会を始めた。回を重ね、日本伝統工芸展での受賞や作家としての自覚の深化など成果も徐々に表れている。
研究会は技術の錬磨・研究のみにとどまらず、工芸家としての素養の陶冶を目指す場として「木工藝学林 清雅舎」と名づけた。もとより学林は共に学ぶことが基本だが、清雅は私の制作上のモットーであり、私自身が長年にわたって築き上げてきた世界を次世代に伝承する場でもある。
このたび清雅舎展を開催するにあたり、ご高覧いただきご支援をお願いするとともにご講評を仰ぎたい。
重要無形文化財「木工芸」保持者 須田賢司
---
木工藝学林 清雅舎 展 ―須田賢司と5人の木工家―
会 期:2022年6月15日(水) ~ 2022年6月20日(月) 最終日午後5時終了
会 場:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
リンク:木工藝学林 清雅舎 展 ―須田賢司と5人の木工家― | アートギャラリー | 日本橋三越本店 | 三越伊勢丹店舗情報 (mistore.jp)
このたび北海道立旭川美術館の「旭川美術館だより『氷華』No.64」に私のインタビュー記事が掲載されました。
学芸課長の佐藤由美加氏が私の工房に来てくださり、長時間のインタビューを通して、作品のこと、仕事のこと、諸々まとめていただきました。
記事はこちらのリンクからご覧頂けます▶hyoka_64.pdf (hokkaido.lg.jp)
イタリアはヴェネツィアにてミケランジェロ財団主催のHOMO FABER展が開催中です
「創作をする人間」に着目した展覧会を続けてきたHOMO FABER展が、今回は日本古来の伝統工芸にフォーカスし12人
展覧会のキュレーション
本展覧会に関連してはアメックス会員誌「DEPARTURE
例年桜の咲くころ恒例の「工芸Kōgeiの創造ー人間国宝展ー」が、今年も銀座和光で始まりました。4月13日まで無休です。
普段出品することの多い公募展は、その長い歴史の中で自然と出来上がった「制約」があるのですが、その点この会は自由に取り組めることが魅力です。人間国宝展と銘打っていますからその格調を保たねばならず緊張はしますが、他ではできない作品の製作・出品を心掛けています。
今日から第62回東日本伝統工芸展が始まりました。この展覧会は公益社団法人日本工芸会の東日本支部在住作家による展覧会です。支部と言っても関東甲信越から北海道までを含む大きな組織です。この展覧会の立ち上げには亡父も深くかかわっていたので思い出深い展覧会で、また私自身、若いときに何度か受賞をしたことでずいぶん励まされました。
今年は欅の小さな箱を出品しています。欅を多用しない私ではありますが、今回使った欅は特別杢目が美しく、玉杢でもなくモクモクと湧き上がる雲のような木目が特徴で、この良質の欅と黒柿材を合わせて小箱としました。中には用途に応じて懸け籠が入れられるようになっています。ご高覧頂けますと幸いです。
第62回東日本伝統工芸展
会期:2022年4月6日㈬~11日㈪
会場:日本橋三越本店7階
リンク:https://www.mistore.jp/shopping/event/nihombashi_e/higashinihon_50
明けましておめでとうございます。コロナ禍で迎える2回目のお正月ですが、皆様お元気に良き新年をお迎えのことと思います。
振り返ると、もともと仕事場に籠って制作をしていたものの、ここ2年ほどはめっきり外出が少なくなり、それもあってか、昨年はそれなりに充実した作品制作の期間となりました。一方で、やらなければならない仕事を多くやり残していることに気づかされ、あと何年元気で仕事ができるかはわかりませんが、今年は一つの区切りとすべく、そのやるべき仕事に取り掛かりたいと思います。
しばらく中断していた若手木工家との研究会も昨年暮れに再開し、今年も精力的に取り組みます。集う作家の一層の精進を期待しています。3月と秋には文化庁補助事業として「重要無形文化財『木工芸』伝承者養成研修会」が工房で1週間ずつ開催され、全国から6名の研修生が集います。講師である私も重文保持者の責任として準備を整え取り組みたいと思います。
また、コロナ禍を受けて長らく休廊していた木工藝ギャラリー-清雅-も2月より再開する予定です。
最後に、本年も多くの展覧会などの発表の機会をいただいていますので、以下の通り当面の予定をお知らせします。コロナの状況次第で変更が予想されますので、折々にお知らせしたいと思います。
2022年の展覧会予定
①「深める・拡げる―拡張する伝統工芸展」
会期 2022年1月19日(水)~1月31日(月)
会場 日本橋三越本店 本館7階催物会場
入場料 無料
主催 文化庁
②第65回東日本伝統工芸展
会期 2022年4月6日(水)~2022年4月11日(月)
会場 日本橋三越本店 本館7階催物会場
入場料 無料
主催 (公社)日本工芸会東日本支部
③「日本の工芸」
会期 2022年4月10日~5月1日
会場 イタリア・ベネチア
主催 ミケランジェロ財団
④「工芸・Kôgeiの創造 ―人間国宝展―」
会期 2022年4月
会場 銀座和光 6階ホール
入場料 無料
主催 和光
11月24日まで東京・上野の国立科学博物館にて、国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展 「木組 分解してみました」が開催中です。
モノとしての道具は、事としての建築、工芸品の制作に使われ人々の生活を豊かにしてきました。その時道具は木を切り、削り、彫って、組み合わせ、物を作ります。木を組むことこそが木工道具の目的と言っていいほど大切な役目です。
今回、木工関係の手道具の世界的コレクションを有している神戸の竹中大工道具館が、道具というモノの博物館がそのモノによって成り立つコト=木組に注目した展覧会を企画しました。木工道具にまつわる「物事」の世界です。日本が世界に誇る木工技術を駆使した木組、木工の粋をご覧ください。この展覧会は一昨年竹中大工道具館で開催されてから各地を巡回し今回の上野の国立科学博物館が最終回です。規模も一番大きいようです。
皆さま是非足をお運びください。