新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。コロナ禍で迎える2回目のお正月ですが、皆様お元気に良き新年をお迎えのことと思います。

 振り返ると、もともと仕事場に籠って制作をしていたものの、ここ2年ほどはめっきり外出が少なくなり、それもあってか、昨年はそれなりに充実した作品制作の期間となりました。一方で、やらなければならない仕事を多くやり残していることに気づかされ、あと何年元気で仕事ができるかはわかりませんが、今年は一つの区切りとすべく、そのやるべき仕事に取り掛かりたいと思います。

 しばらく中断していた若手木工家との研究会も昨年暮れに再開し、今年も精力的に取り組みます。集う作家の一層の精進を期待しています。3月と秋には文化庁補助事業として「重要無形文化財『木工芸』伝承者養成研修会」が工房で1週間ずつ開催され、全国から6名の研修生が集います。講師である私も重文保持者の責任として準備を整え取り組みたいと思います。

 また、コロナ禍を受けて長らく休廊していた木工藝ギャラリー-清雅-も2月より再開する予定です。

 最後に、本年も多くの展覧会などの発表の機会をいただいていますので、以下の通り当面の予定をお知らせします。コロナの状況次第で変更が予想されますので、折々にお知らせしたいと思います。 


2022年の展覧会予定

 

①「深める・拡げる―拡張する伝統工芸展」

会期  2022年1月19日(水)~1月31日(月)

会場  日本橋三越本店 本館7階催物会場

入場料 無料

主催  文化庁

 

②第65回東日本伝統工芸展 

会期  2022年4月6日(水)~2022年4月11日(月)

会場  日本橋三越本店 本館7階催物会場

入場料 無料

主催  (公社)日本工芸会東日本支部

 

③「日本の工芸」

会期  2022年4月10日~5月1日

会場  イタリア・ベネチア

主催  ミケランジェロ財団

 

④「工芸・Kôgeiの創造 ―人間国宝展―」

会期  2022年4月

会場  銀座和光 6階ホール

入場料 無料

主催  和光


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企画展「木組 分解してみました」@東京上野・国立科学博物館

 11月24日まで東京・上野の国立科学博物館にて、国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展 「木組 分解してみました」が開催中です。

 モノとしての道具は、事としての建築、工芸品の制作に使われ人々の生活を豊かにしてきました。その時道具は木を切り、削り、彫って、組み合わせ、物を作ります。木を組むことこそが木工道具の目的と言っていいほど大切な役目です。

 今回、木工関係の手道具の世界的コレクションを有している神戸の竹中大工道具館が、道具というモノの博物館がそのモノによって成り立つコト=木組に注目した展覧会を企画しました。木工道具にまつわる「物事」の世界です。日本が世界に誇る木工技術を駆使した木組、木工の粋をご覧ください。この展覧会は一昨年竹中大工道具館で開催されてから各地を巡回し今回の上野の国立科学博物館が最終回です。規模も一番大きいようです。

 皆さま是非足をお運びください。


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月刊文化財令和3年10月号

 第一法規社刊「月刊文化財令和3年10月号」紙面上でインタビューを受けました。タイトルは「工芸技術記録映画(文化庁規格・製作)「木工芸―須田賢司のわざ―」の製作を振り返る」です。

 第一法規社▶https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/100412.html

 今回号の規格趣旨として、無形文化財としての工芸技術の保存・継承のために、現状行われている記録の事例を紹介する一環として取材を受けました。ご覧頂けますと幸いです。

 記録映画自体は撮影して頂いた毎日映画社のウェブページでもDVD形式で販売されております。

 毎日映画社▶https://mainichieiga.official.ec/items/42298752


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MOA美術館友の会季刊誌「美の友」二〇二一年十月号

MOA美術館友の会季刊誌「美の友」二〇二一年十月号に須田が取り上げられました。

表紙には栃拭漆嵌装小箪笥「水光接天」を掲載頂き、製作の過程についても紙面で特集頂きました。ご覧ください。

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【湯けむりフォーラム2021】人間国宝 須田賢司-清雅の世界-

 このたび、私が工房を置く群馬県が、須田の紹介動画「【湯けむりフォーラム2021】人間国宝 須田賢司-清雅の世界-」を作ってくださいました。

 動画冒頭の「tsulunos(ツルノス)」は群馬県庁32階展望ホールに開設された動画・放送スタジオで、群馬県の魅力や県民が必要とする情報を動画にまとめ発信しています。”鶴舞う形の群馬県”と云われるところからの命名です。

 20分ほどの動画では、作品や工房のある甘楽町の風景の紹介、また館林美術館特別館長の佐々木正直先生との対談を交えながら、私の生い立ち~甘楽町への移住~海外との交流~後継者養成等について触れられています。ぜひご覧ください。

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第68回日本伝統工芸展 受賞作品紹介

このたびの第68回日本伝統工芸展に際しては、昨今のコロナ禍を受けてギャラリートークが中止となったことを受けて、受賞作品の紹介をYouTube上で行いました。木竹工については、須田が担当しております(00:20:46頃より)。ご覧ください。

 

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楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」について

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」/須田賢司

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹(あめのうみに)」

 

 天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ

 

もともと仕事三昧の私ですが、コロナ禍で私はいつも以上に工房に籠って仕事ばかりしています。そこで本年は制作に集中できたという点においては例年以上に力を入れた作品になりました。現代の工藝は使うこと=道具というより、すでに「表現の工藝」という側面が強くなっています。手間のかかる良質な木工藝の仕事は特に何かのためというより表現行為の中にこそ生き延びることが出来ると思っています。

そこで以前から言ってみれば外見は単なる小箪笥や箱の作品に題名を付けるようにしています。それはあたかもベートーヴェンの交響曲第5番を「運命」と呼ぶように、端的にその作品世界に人々を引き込む力があります。中でも漢詩の一節を題とした作品群は、その詩が描く世界や漢詩を日本語で読み下すときの独特なリズムを連想し、思い描く理想の文人世界へと私を誘ってくれることを願っていました。しかし齢を重ね近頃は漢詩の世界が少し苛烈に感じられ、湿潤な天地(あめつち)に育まれた萬葉の世界に心惹かれることが多くなりました。

上記の和歌は萬葉集巻の七の冒頭を飾る雜歌、天を詠める歌として有名です。作者は柿本人麻呂と言われていますが諸説あるようです。今回はこの歌に惹かれて作品となりました。(なお萬葉集では「天海丹」となっていますが、作品名はあえて萬葉仮名風に表記しました。)

 満天の星空を海に見立て月の船で漕ぎ出すという、何とも壮大な世界がたった三十一文字で表現されています。この壮大な情景を読むことはそれこそ漢詩の影響も指摘されるようです。人麻呂のような教養人にとってこの時代、漢詩の素養は必須だったのでしょう。しかし私にとってこの指摘は漢詩の世界観を咀嚼し、和の世界観に止揚した結果のように感じられ一層この和歌の世界に惹かれました。

 このテーマを小箪笥の中に閉じ込めました。白いシカモア材の下部に黒色材をあしらい、そこに各種蝶貝で星空を象嵌しました。黒漆地の螺鈿と違い、木目が織りなす変化にとんだ混沌をバックとした木地象嵌もいいものです。中を開けると月の船が現れます。山桜材で出来た2杯の抽斗の間の棚板はあえて通常よりぐっと厚くしてそこにも金とプラチナの星が輝きます。月は銀に金銷仕上げをした後さらに銀箔を焼き付け表情に変化を付けました。

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」/須田賢司
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新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。コロナ禍で迎える2回目のお正月ですが、皆様お元気に良き新年をお迎えのことと思います。

 振り返ると、もともと仕事場に籠って制作をしていたものの、ここ2年ほどはめっきり外出が少なくなり、それもあってか、昨年はそれなりに充実した作品制作の期間となりました。一方で、やらなければならない仕事を多くやり残していることに気づかされ、あと何年元気で仕事ができるかはわかりませんが、今年は一つの区切りとすべく、そのやるべき仕事に取り掛かりたいと思います。

 しばらく中断していた若手木工家との研究会も昨年暮れに再開し、今年も精力的に取り組みます。集う作家の一層の精進を期待しています。3月と秋には文化庁補助事業として「重要無形文化財『木工芸』伝承者養成研修会」が工房で1週間ずつ開催され、全国から6名の研修生が集います。講師である私も重文保持者の責任として準備を整え取り組みたいと思います。

 また、コロナ禍を受けて長らく休廊していた木工藝ギャラリー-清雅-も2月より再開する予定です。

 最後に、本年も多くの展覧会などの発表の機会をいただいていますので、以下の通り当面の予定をお知らせします。コロナの状況次第で変更が予想されますので、折々にお知らせしたいと思います。 


2022年の展覧会予定

 

①「深める・拡げる―拡張する伝統工芸展」

会期  2022年1月19日(水)~1月31日(月)

会場  日本橋三越本店 本館7階催物会場

入場料 無料

主催  文化庁

 

②第65回東日本伝統工芸展 

会期  2022年4月6日(水)~2022年4月11日(月)

会場  日本橋三越本店 本館7階催物会場

入場料 無料

主催  (公社)日本工芸会東日本支部

 

③「日本の工芸」

会期  2022年4月10日~5月1日

会場  イタリア・ベネチア

主催  ミケランジェロ財団

 

④「工芸・Kôgeiの創造 ―人間国宝展―」

会期  2022年4月

会場  銀座和光 6階ホール

入場料 無料

主催  和光


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企画展「木組 分解してみました」@東京上野・国立科学博物館

 11月24日まで東京・上野の国立科学博物館にて、国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展 「木組 分解してみました」が開催中です。

 モノとしての道具は、事としての建築、工芸品の制作に使われ人々の生活を豊かにしてきました。その時道具は木を切り、削り、彫って、組み合わせ、物を作ります。木を組むことこそが木工道具の目的と言っていいほど大切な役目です。

 今回、木工関係の手道具の世界的コレクションを有している神戸の竹中大工道具館が、道具というモノの博物館がそのモノによって成り立つコト=木組に注目した展覧会を企画しました。木工道具にまつわる「物事」の世界です。日本が世界に誇る木工技術を駆使した木組、木工の粋をご覧ください。この展覧会は一昨年竹中大工道具館で開催されてから各地を巡回し今回の上野の国立科学博物館が最終回です。規模も一番大きいようです。

 皆さま是非足をお運びください。


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月刊文化財令和3年10月号

 第一法規社刊「月刊文化財令和3年10月号」紙面上でインタビューを受けました。タイトルは「工芸技術記録映画(文化庁規格・製作)「木工芸―須田賢司のわざ―」の製作を振り返る」です。

 第一法規社▶https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/100412.html

 今回号の規格趣旨として、無形文化財としての工芸技術の保存・継承のために、現状行われている記録の事例を紹介する一環として取材を受けました。ご覧頂けますと幸いです。

 記録映画自体は撮影して頂いた毎日映画社のウェブページでもDVD形式で販売されております。

 毎日映画社▶https://mainichieiga.official.ec/items/42298752


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MOA美術館友の会季刊誌「美の友」二〇二一年十月号

MOA美術館友の会季刊誌「美の友」二〇二一年十月号に須田が取り上げられました。

表紙には栃拭漆嵌装小箪笥「水光接天」を掲載頂き、製作の過程についても紙面で特集頂きました。ご覧ください。

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【湯けむりフォーラム2021】人間国宝 須田賢司-清雅の世界-

 このたび、私が工房を置く群馬県が、須田の紹介動画「【湯けむりフォーラム2021】人間国宝 須田賢司-清雅の世界-」を作ってくださいました。

 動画冒頭の「tsulunos(ツルノス)」は群馬県庁32階展望ホールに開設された動画・放送スタジオで、群馬県の魅力や県民が必要とする情報を動画にまとめ発信しています。”鶴舞う形の群馬県”と云われるところからの命名です。

 20分ほどの動画では、作品や工房のある甘楽町の風景の紹介、また館林美術館特別館長の佐々木正直先生との対談を交えながら、私の生い立ち~甘楽町への移住~海外との交流~後継者養成等について触れられています。ぜひご覧ください。

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第68回日本伝統工芸展 受賞作品紹介

このたびの第68回日本伝統工芸展に際しては、昨今のコロナ禍を受けてギャラリートークが中止となったことを受けて、受賞作品の紹介をYouTube上で行いました。木竹工については、須田が担当しております(00:20:46頃より)。ご覧ください。

 

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楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」について

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」/須田賢司

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹(あめのうみに)」

 

 天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ

 

もともと仕事三昧の私ですが、コロナ禍で私はいつも以上に工房に籠って仕事ばかりしています。そこで本年は制作に集中できたという点においては例年以上に力を入れた作品になりました。現代の工藝は使うこと=道具というより、すでに「表現の工藝」という側面が強くなっています。手間のかかる良質な木工藝の仕事は特に何かのためというより表現行為の中にこそ生き延びることが出来ると思っています。

そこで以前から言ってみれば外見は単なる小箪笥や箱の作品に題名を付けるようにしています。それはあたかもベートーヴェンの交響曲第5番を「運命」と呼ぶように、端的にその作品世界に人々を引き込む力があります。中でも漢詩の一節を題とした作品群は、その詩が描く世界や漢詩を日本語で読み下すときの独特なリズムを連想し、思い描く理想の文人世界へと私を誘ってくれることを願っていました。しかし齢を重ね近頃は漢詩の世界が少し苛烈に感じられ、湿潤な天地(あめつち)に育まれた萬葉の世界に心惹かれることが多くなりました。

上記の和歌は萬葉集巻の七の冒頭を飾る雜歌、天を詠める歌として有名です。作者は柿本人麻呂と言われていますが諸説あるようです。今回はこの歌に惹かれて作品となりました。(なお萬葉集では「天海丹」となっていますが、作品名はあえて萬葉仮名風に表記しました。)

 満天の星空を海に見立て月の船で漕ぎ出すという、何とも壮大な世界がたった三十一文字で表現されています。この壮大な情景を読むことはそれこそ漢詩の影響も指摘されるようです。人麻呂のような教養人にとってこの時代、漢詩の素養は必須だったのでしょう。しかし私にとってこの指摘は漢詩の世界観を咀嚼し、和の世界観に止揚した結果のように感じられ一層この和歌の世界に惹かれました。

 このテーマを小箪笥の中に閉じ込めました。白いシカモア材の下部に黒色材をあしらい、そこに各種蝶貝で星空を象嵌しました。黒漆地の螺鈿と違い、木目が織りなす変化にとんだ混沌をバックとした木地象嵌もいいものです。中を開けると月の船が現れます。山桜材で出来た2杯の抽斗の間の棚板はあえて通常よりぐっと厚くしてそこにも金とプラチナの星が輝きます。月は銀に金銷仕上げをした後さらに銀箔を焼き付け表情に変化を付けました。

楓嵌装小箪笥「安売乃宇美丹」/須田賢司
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