2020年明けましておめでとうございます

 

 明けましておめでとうございます。

 

 

 今年も抜けるような青空が広がる快晴の朝で始まりました。やはり元旦は特異日のようです。晴天を眺めながらこの空のような曇りのない心で仕事に取り組みたいと強く思いました。今年もよろしくお願いいたします。

 

年目を迎える工房併設の「木工藝ギャラリー清雅」も展示点数が増え、道具や材料の展示も加わりました。木工藝の紹介に努めます。また同じく三年目となる若手作家との研究会にも力を入れて次代を担う作家の成長を期待したいと思います。三越での発表・展覧会も計画しています。

 

このほか今年も講演会や展覧会への出品を色々と予定しています。現時点での予定を以下お知らせします。

 

 

 

【講演会】

 

 ○614日 竹中大工道具館開館35周年記念「木組み展」関連講演会東京・国立科学博物館

 

 920日 同上札幌巡回展関連講演会/札幌・JRタワープラニスホール

 

 

【展覧会】

 

 例年通り伝統工芸展は

 

 ○48日~13日 東日本伝統工芸展/東京・日本橋三越本店

 

 ○916日~28日 第67回日本伝統工芸展/東京・日本橋三越本店

 

 その他の展覧会は

 

 ○127日~324日 クリエイションの未来展 第21回 宮田亮平監修「九つの音色-Reflection-」/京橋リクシルギャラリー(「日本博」協賛)

 

 …絵画や工芸という分野、そして作家の所属団体の垣根も取り払い9人の作家が集まって「九つの音色」展を始めたのがもう10数年前のことでした。その後5回の展覧会を開き小休止。今回10年近くのブランクを置いての開催です。作家それぞれの発展・変化に出会えるのが楽しみです。

 

 ○42日~14日 銀座和光にて「工芸・Kōgeiの創造ー人間国宝展」

 

 910日~1011日 ミケランジェロ財団主催HOMO FABER2020年(オモ・ファベール)展出品/イタリア・ベネチア  

 

 9月から10月 東京国立博物館表慶館にて 日本博覧会「工藝2020」展

 

 オリンピック・イヤー記念 日本伝統工芸展、日展の垣根を超えた工芸展

 

 

 

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2019年を振り返って

 2019年もあと残すところ1日。あっという間の1年が終わろうとしています。
 5月に隔年開催の伝統工芸木竹展があり、6月には巡回展が神戸の竹中大工道具館で実現しました。道具館の赤尾前館長には長年ご厚誼をいただいておりますが、そのご縁で念願だった巡回展をお引き受けいただき感謝に堪えません。新しい展開を得て作家も奮起しています。巡回展実現までには道具館、木竹部会役員の昨年からの長い準備がありました。ありがとうございました。
 その後8月から9月には竹中工務店東京本店内ギャラリーエークワッドで「木工藝 清雅を標にー人間国宝 須田賢司の仕事ー」が開かれました。同ギャラリーの展覧会としては今までになく多くのお客様にご来場いただけたそうです。東京藝大美術館や福岡埋蔵文化財センター、群馬の県埋蔵文化財調査事業団、各地のご所蔵家の皆様のご協力を得て、拙著「木工藝」を実物で表現する展示ができました。以前神戸の竹中大工道具館で開催しましたが、より充実させたものを東京で開催できてとてもうれしく思っています。日本の木工史とその上での私の仕事、作品、さらにそれが生み出される環境、仕事場の再現という3部構成は画期的なものでした。充実した展覧会になりました。その後12月上旬まで小規模ながら福島にも巡回しました。
 11月には地元群馬県甘楽町町制施行60周年記念事業の一環として「木工藝 人間国宝須田賢司の仕事」展が開催されました。この展覧会の特徴は何といっても柴田是眞原画による版画「花くらべ」120枚の一挙公開でした。私の作品の生まれる背景として外祖父の漆芸家山口春哉の系譜があり、その3代前の師が是眞なのです。120枚が一度に並んだことはかつてないと思います。壮観でした。この企画を立ててくださった町に感謝申し上げます。
 多くのエポックに恵まれた一年でしたが、何といっても文化庁による記録映画の完成が記憶に残る年でした。この時点における私の今までの集大成とも言える作品が出来ましたが、その制作の様子を細かく記録してくださいました。作品とともに「永遠」に保存されるということです。何か生きてきた証を残せたように思います。それに加えこの映画が各方面で好評をいただきいくつかの賞を頂きました。あのキネマ旬報にも紹介されました。毎日映画社の柿沼監督始めスタッフの皆様のお蔭です。声優の堀内賢雄さんのナレーションもぴったりでした。
 そして今年最後のトピックはテレビの取材でした。正月4日午後5時から7時まで「人生宝談」に出演いたします。3人の人間国宝が出演します。作品制作より私(私たち夫婦)の人生に力点が置かれたようで気恥ずかしい限りです。
 また5人の若手作家との研究会も2年目となりますます、皆さん益々やる気が出てきたようです。頼もしく思っています。
 このように健康で充実した一年を送れたことに感謝しています。ありがとうございました。来年もいろいろな仕事が待っています。まだまだ走り続けます。明年もよろしくお願いいたします。
 皆さま、よいお年をお迎えください。

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【イベント】対談シリーズ~匠と語る日本の未来~/アークヒルズクラブ

 このたび「一般社団法人TAKUMIArt du Japon」の主催による『匠と語る日本の未来』と題する対談シリーズにお招きいただきました。この法人は元文化庁長官で外交官でもあった近藤誠一氏が代表理事を務めており、対談のホストもしていただきます。近藤先生のリードで今までの視点とは違う新しい切り口でお話が進むことを楽しみにしています。

 

 

対談『匠と語る日本の未来』

 日 時:926日(水)18時~

 場 所:アークヒルズクラブ(東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビルイーストウィング37階)

 ホスト:近藤誠一氏

 会 費:一般14,500円、会員12,500円(食事含む)

 申 込:かまくら春秋社内 TAKUMI事務局

      メール:takumi@kamashun.co.jp

      電 話:0467-24-7223

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【イベント】利休桑文机の復元製作について

 

 

このたび、家具道具室内史学会会長の小泉先生の発案で、

利休桑文机の復元模造を製作することとなりましたので、その詳細をご案内致します。

714日(土)は実物を前に先生と対談を致します。

ご聴講をご希望の方は、後述の家具道具室内史学会連絡先からお申し込みください。 

 

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木工藝、なかでも指物を仕事にする者にとって茶道具はゆかりの深いものである。

 実際に棚物など道具を作ることも多い。また木工藝の歴史を振り返ってみても桃山時代以降の侘び茶の展開・成熟が、その後指物でつくられる家具什器に与えた影響は計り知れない。村田珠光による竹台子の創案などは唐様の喫茶習慣から和様の茶道への転換を象徴し、和風指物の濫觴ともいえよう。またそれは本邦産の杉、桐、桑、松などの素木に価値を見出す日本木工史の一つのエポックを生み出した。

その時代に作られたと考えられる利休文机と呼ばれる桑製の文机について茶道具寸法録に記載がある。しかしどの寸法録にも記載があるわけではなく、現行入手可能な啓草社発行の「茶道具寸法録・正、続、続々」には記載がない。ただこの啓草社版の底本になったと思われるものや、たとえば竹内久一旧蔵になる江戸末期の指物師の手控えには記載がある。今回の小泉先生との対談のフライヤーなどに記載されている図はこれらのものと同類と思われ、おおよその寸法が一致する。

この利休文机を、日本の家具史・木工史の中で重要文化財クラスと高く評価する家具道具室内史学会会長の小泉先生の発案で復元模造を製作することとなった。

確かに日本は「木の国」「木の文化の国」と言われながら、純粋に木工品と呼べるものが高い評価を得ていないことは残念ながら事実である。今回の製作の試みは、この文机の美点と技法上の特徴を明らかにして、再評価し木工史の中、さらに日本の美術史、文化史の中にきちんと位置づけようとするものだろう。

しかし難しい問題がある。それはこの寸法録に見合う当時の作品が今に伝わっていないのだ。寸法録はあるが、本件に限らず寸法録を頼りにしようとしても、製作に必要な各部分の細かい寸法や内部の仕口の記載がないことが多く、製作は困難を極める。それはこれらの寸法録が作り手によって書かれたものではなく、ある時代に伝わってきている出来上がった茶道具から寸法のみを、それも作り手でない者が採取した結果と思われる。

そこで私は通常、茶道具の製作にあたっては多くを父が残した図面に拠っている。この図面は父が長い時間を費やし、昔のものを修理した時や実物に触れたときに、製作者の目で採寸・記録したものである。これがなければとても製作できない貴重なものである。簡単そうに見える炉縁にしても四隅は特殊な仕口で組み合わさり、内側の面取りも微妙な角度をしている。これらの寸法や仕口にどこまで合理的理由があるかは定かではない。だがしかし、そこが茶道具たる所以であり変えることはできない。

この文机もこの例外ではない。寸法録だけでは製作不可能である。実物にあたるしかないが前述のようにこの寸法録に該当する実物は寡聞にして知らない。そこで今回の製作にあたっては小泉先生著の別冊太陽「和家具」に掲載されている「利休文机」を参考にした。幸いこの机に関しては木工の専門家が採取・製図した詳細な図面があり、これに拠って製作することとした。

ただこの机の特徴として、複数の寸法録に記載された利休文机と比較して若干寸法が小さい。またさらに大きく異なるのは筆返しの高さである(筆返しに関しては寸法録記載の寸法に疑問がなくはない)。

このように図面で判別できることはそれに従ったが、例えば仕口の内部まで情報を得るにはおのずと限界があり、図面に現れない制作上の要点は一般的木工の原則と私の解釈に拠ることとした。いずれにしろ間口三尺、奥行き一尺二寸五分前後ありながら、甲板の厚さは六分(約18㎜)という薄さは共通である。いくら粘り強く細かい細工に向く桑とはいえ、その薄い甲板に直に脚のを指すこの机はよほど仕口の精度がよくなくてはもたない。さらに筆返しを兼ねる端嵌(はしばみ)の仕事は他に類型の無い興味深いものである。

この復元された実物を前に小泉先生と私が対談をさせていただくことになった。実はまだ製作途上であり、今後の困難な製作を考えるとこの企画を今の段階で告知することには若干躊躇するが、多くの方にこの机の存在を知っていただきその価値を共有していただきたくお知らせします。

 

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対談「至高の美―利休桑机を製作して」

 

日時:714日(土)13001530

会場:昭和のくらし博物館(東京都大田区南久が原2-26-19

    東急池上線久が原駅または多摩川線下丸子駅より徒歩8

お申込・お問合せ先先:

   家具道具室内史学会事務局

    電話:090-8517-4820(火~金90018:00

    メール:mail@jpshift2008.org

 

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【展覧会】第58回東日本伝統工芸展/日本橋三越本店

 日本工芸会所属の東日本支部地区在住作家による公募展、「第58回東日本伝統工芸展」が425日から30日まで日本橋三越本店新館7階で開かれます。毎年秋に開かれる日本伝統工芸展に対する春の展覧会として、東京・長野以北北海道まで含む支部で運営されています。この構成は過去、私のたちが立ち上げた発足時に東京以外の作家が少なかった事情に依ります。工芸会各支部ごとに支部展はありますが中でも一番大規模な支部展で、若手作家の登竜門ともなっています。私も父を亡くした直後のこの展覧会で受賞し励まされた思い出があります。

 今回私は白い楓と朱色の梨材のコントラストをもった長手の小箱を出品しています。

 

 「木工藝―須田賢司と五人の作家展」は別掲のご挨拶にあるように、今年1月から始めた若手作家との研究会の成果です。こういった研究会の必要を痛感し、工房を広げたのです。まだまだ始まったばかりではありますが、参加者は皆さん頑張って作品を作りました。木工藝を身近にしていただくきっかけになれば幸いです。ぜひお出かけいただき、若い作家を励ましていただきたいと思います。

 

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 「第58回東日本伝統工芸展」

 会 期:4月25日(水) ~ 30日(月・振休)

10:30~19:30 ※最終日は18:00まで

 会 場:日本橋三越本店 新館7階催物会場

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【展覧会】「木工藝ー須田賢司と五人の作家展」/日本橋三越本店

「木工藝ー須田賢司と五人の作家展」

 木工藝は木を素材とした工藝として本来身近なもののはずですが、現在あまり接する機会がないように思えます。画廊では毎週いろいろな個展などが開かれていますが木工藝の展覧会はほとんどありません。工藝愛好家の皆様の目に触れる機会がないのです。それは日本伝統工芸展に出品を重ね、精進している若手木工藝作家にとっても残念なことです。

 私が重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定されてから4年になろうとしていますが、このような現状を見るにつけ何とかしなければならないと思っていました。そこで昨年自宅工房を広げ研修の場を確保するとともに、「木工藝ギャラリー-清雅」を併設し多くの方に木工藝作品をご覧いただくことと致しました。

さらに本年1月からこの5人が工房に集まり研究会を始めました。私たちは木工藝作家としてお互いの研鑽を目的に集まった仲間です。その研究の成果を発表し多くの方に木工藝の魅力を知っていただきたく、この展覧会を企画しました。

 もちろん現代の工藝は表現活動の一つには違いないのですが、あえてここでは生活の中で実際にお使いいただき、人生を豊かにする工藝作品を中心に展覧いたします。ご高覧、ご愛用頂けますようお願い申し上げます。

須田 賢司            

(重要無形文化財「木工芸」保持者)

 

五十嵐 誠            

桑山 弥宏            

玉井 智昭            

林  哲也            

深沢慎太郎            

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【展覧会】「名工の明治」展/東京国立近代美術館工芸館

現在、竹橋の東京国立近代美術館工芸館では「名工の明治」という展覧会を開催中です。この展示作品中に、同館収蔵の父や私の作品もあると聞き行ってきました。

「名工の明治」展/東京国立近代美術館工芸館

「名工の明治」との企画ですから、第1室は「明治の技の最高峰―帝室技芸員」と題して始まります。金工の加納夏雄や私の外祖父・山口春哉の師のまた師である池田泰眞の作品など、綺羅星の如く輝くまさに明治の名工の作品を見ることができます。今回は工芸館の展覧会では珍しく、ところどころ作品に解説文が添えられており、1番から20番まで番号が付されていますが、その1番目は夏雄の手板3種を硯屏のようにまとめた作品でした。彫金の技もさることながら、収めた黒柿の枠が良いものでした。鶉杢の黒柿は端然と仕上げられ、ダレたところのない指物の特徴を余すところなく表していました。木工家はこんなところに目が行きます。泰眞の屏風は初めて見ました。屏風の枠は島桑が使われやはり時代を感じます。この時代はやはり桑といえば島桑だったのです。

第2室はこの展覧会の眼玉である「鈴木長吉と十二の鷹」です。これまで何度か目にしていますが、今回本格的な修復が済み、長く失われていた「鉾垂れ」が復元されて初めてのお披露目です。言うまでもない傑作ですが、改めてその迫力に圧倒され思わず立ち止まってしまいます。

その後第3室では、その後のいうなれば伝統工芸の第一世代:松田権六や板谷波山の作品が展開されます。このあたりからはよく知る名前に気が付きます。

そして第4室。「技を護る・技を受け継ぐ」として今日の展開が紹介されています。私は展覧会のタイトルだけを見て「明治の名工」だけの展覧会かと思っていたのですが、それから始まる工芸の展開が紹介されるものでした。第4室は知った名前や現在も活躍中でお付き合いのある作家の作品も多く、明治から続く、いやもっと以前から続く工芸の最先端を見ることができます。この場合の工芸はあくまで正統的工芸のことです。

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